【今月の教化部長の言葉】令和4年11月

あなたの鶴をまってます

教化部長 鈴木幸利

 

 私が毎朝お参りしている八幡社には大きな栗の木があります。 毎年9月の声を聞くと緑のイガが茶色くなって、ある日、イガが丸ごと落ちていたり、木の上でハゼた栗の実がつやつやと光って落ちていたりします。 お参りする人たちの秋の楽しみです。 実りの秋は目にも鮮やかで豊かな心と活力を与えてくれます。 そして、やがて訪れる冬を乗り切るための備えや工夫をする時でもあります。 静かで落ち着いた夜長、季節の移り変わりにはたくさんの気づきやよろこびが潜んでいます。

 

 

 わが家では、長男の嫁の出産の為、8月の終わりから半月間5才の孫を預かることになりました。 孫は最初の頃は夕方になると母親が恋しくなるのか、めそめそしていましたが、その後は元気に生活し半月後無事親元に帰って行きました。 子供を預かるのはなかなか大変でしたが私は色々なことを学びました。 孫は妻に「 ばあば、ばあば 」といつも張り付いています。 私にはあまり興味がないようです。 なぜこんなに差が出るのか少々嫉妬です。 よく見ていると、妻は孫の要求を否定しません。 すべて受け入れて食べ物でも遊び事でも可能な限り叶えてやります。 今を充分満足させてあげているのです。 わが3人の子供がまだ小さい時のことを思い出しました。 「 夕ご飯何食べたい 」と妻が子供に聞くと「 カレー 」「 ハンバーグ 」「 オムレツ 」と3人別々の物を言います。 私ならば「 じゃー、こんばんはカレー、明日はハンバーグ、明後日はオムレツね 」と言いますが、妻は三人の要望の3種類をその日に作ってあげるのです。 子供はみな自分の望みが叶えられ大満足でよろこんで食べていました。 「 子供が望んだことは、もういいと言うまで要求に応えてあげるのが良い。 親は気持ちと時間の許す限り、手作りや身体を使って子供の望んでいるものに応えていると子供はその気持ちが満たされたとき、自立していくのである 」と児童精神科医の佐々木正美さんが言われているそうです。 子供は今日満足すればしあわせなのです。 私の目にはやや孫を甘やかし過ぎではないか、と思っていました。 最初の頃は食べ物も「 あれが嫌い、これも嫌い 」といっていた孫が帰る頃には何でも好き嫌いなく、ばあばの言うことを聞いて積極的に食べているのです。 まずは愛情をたっぷり与えるとちゃんと相手は聞いてくれると教えられました。 また、帰る少し前に孫は画用紙を2枚つないで、とても丁寧に電車の絵を描いて「 ばあばへ 」とメッセージを入れてプレゼントしてくれました。 5才の子供が自分の考えたお礼の形でした。 まるで「 鶴の恩返し 」のようでお金や物は持っていなくても、今自分の出来ることを考えた、気持ちの籠もった贈り物に大変感動していました。

 

 

 私たちの運動も同じではないでしょうか。 それぞれの場所でそれぞれが心を込めて今出来ることをやれば良い。 歩ける人は歩く。 走れる人は走る。 元気に活動できる人はどんどん進めてもらう。 でも、いろいろな事情で家から出られなくても、やれることはたくさんあるのです。 祈ること、人の話を聞くこと、祝福することetc。 動けない人は偉大なる大地です。 いつもそこに居てくれて見守ってくれる。 おかえりなさいと言って労ってくれる。 そんな存在の人がたくさんいる組織は本当に層が厚くて信頼できます。 みんなで相互に支え合う、そんな愛知教区をめざしていきたいと思います。

 

 

 さて、1日も早くウクライナに平和と幸せな生活が戻りますように「『 人類同胞大調和六章経 』読誦と世界平和の祈り 」の運動を始めました。 読誦と祈りを1回したら、折り紙の裏に平和の願いを書いて鶴を一羽折って頂くというものです。 そしてみなさんの世界平和の願いがこもった鶴を教化部に集め、青と黄色の鶴を教化部のギャラリーの壁一面に貼り、ウクライナの大きな国旗を作り上げていきます。 地元からの注文で既に1万5千枚以上の折り紙が教化部から飛び立ちました。 鶴を折って教化部に返してください。 最高のウクライナ国旗を掲げましょう。